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慰謝料の請求権者について

民法第711条では『他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、 損害の賠償をしなければならない。』と規定されています。これをそのまま解釈すれば、死亡事故に限って被害者の父母、配偶者及び子のみが 慰謝料請求権を有するということになりますが、実際には次のように解釈されています。

『他人の生命を侵害した』について

死亡でなくとも、それに比肩するような精神上の苦痛を受けたと認められる場合は、近親者は固有の慰謝料請求権を有すると解されています。

参考判例
7歳男児が右眼失明、左眼視力0.06、両耳難聴、歩行障害の後遺症を残したケースで、両親に固有の慰謝料が認められた。(最高裁昭和45年7月16日判決)

『被害者の父母、配偶者及び子に対して』について

必ずしも条文のとおり限定的に解釈されるものではなく、これらの者と同視しうる関係にある者も固有の慰謝料請求権を有すると解されています。

参考判例
不法行為による生命侵害があった場合、被害者の父母、配偶者及び子が加害者に対し直接に固有の慰謝料を請求しうることは、民法711条が明文をもって 認めるところであるが、右規定はこれを限定的に解すべきものでなく、文言上同条に該当しない者であっても、 被害者との間に同条所定の者と実質的に同視しうべき身分関係が存し、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者は、 同条の類推適用により、加害者に対し直接に固有の慰謝料を請求しうるものと解するのが、相当である(最高裁昭和49年12月17日判決)

事故以前の身分関係の変動は、固有の慰謝料請求権に影響を与えるか

・何らかの理由により戸籍上は離婚していたが、実体上は夫婦生活が維持されていたというような場合。

・籍は入っていたが、事故時には婚姻生活は破綻しており、離婚が確実であった場合。

・共に生活していたが、いまだ認知されていなかった場合。

・養子がなくなった場合の、養親、実親の固有の慰謝料請求権はどうなるか。

上記のようなケースでは、一律に判断することは難しく、個別に検討することが必要だと思います。 例えば認知していない子と生活を共にしていた夫がその子を失った場合は、扶養状況や生活状況から、通常の親子関係程度の愛情が認められれば、固有の慰謝料請求権が 認められるかもしれませんし、ただ一緒に住んでいるだけで、経済的にも精神的にもつながりが薄いと判断されれば、固有の慰謝料請求権は認められないという場合もあるのではないかと思います。

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