動物と衝突した場合の過失

交通事故オンライン損害賠償編

千葉、都内、埼玉、茨城を中心に全国対応
伊佐行政書士事務所

動物の飼い主の責任

飼い犬などが道路へ飛び出してきて、ヒヤリとした経験をお持ちの方は多いと思います。不幸にも動物と衝突してしまい、 動物が怪我をしたり、車が破損したりして損害賠償請求をする場合の過失割合はどうなるでしょうか。

民法718条には、動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、 動物の種類および性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない、と規定されています。

犬が道路に飛び出したりしないように管理すべきであるのに、それが不十分なために逃げ出して車と衝突した場合などは、占有者に対して損害賠償請求することが可能です。 しかし、過失割合は、必ずしも逃げ出した犬が100%悪いということにはならず、事故態様を個別に検討して判断することとなります。

犬等の動物と衝突した場合の過失

例えば、住宅街の中の道路を制限速度内で走行していた車の前に、突如民家の玄関先から犬が駆け出してきたとします。塀があるので見通しは悪い状況です。「見通しが悪いのだし、 犬が突然飛び出してきたのだから、飛び出した方が100%悪いのでは?」と思い込みがちですが、そうとは限りません。犬が玄関ではない場所、例えば低めの塀を、 庭から道路へジャンプして飛び出してきたということであれば、車側の過失は0か、それに近い数字になると思われますが、玄関というのは人の出入りがある場所であり、 車の運転者としては、そこから子供が飛び出してくるということも考えて、いつでも回避できるように走行する責任があります。そうした注意義務を果たせていない場合は、 自動車側にも過失が問われる可能性があるのです。このケースでは、自動車側にも35%の過失が認められています。他にも散歩中に飼い主の握っていた綱を振り払い、道路に飛び出した犬が 車と衝突した場合に、自動車側に減速等の措置を講じなかったとして、20%の過失を認めた例もあります。

歩行者対自動車の場合は、事故態様ごとに基準化が図られていますが、動物対自動車の場合は基準化はされていません。過失を判断するにあたっては、独自の配慮が必要ではないかと思います。 例えば、動物が逃げないように相当の注意がされていたのか、それともいい加減な管理状況だったのか、その動物が小さくて発見が容易でなかったのではないか、動きが俊敏で回避の余地がなかったのではないか、 夜間の事故では発見しにくい色だったのではないか、などについてです。