小石をはねた過失

交通事故オンライン損害賠償編

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伊佐行政書士事務所

不法行為と過失責任

ドライバーが交通事故の加害者となって損害賠償責任を負わなければならないのは、主に不法行為(違法に他人の権利や利益を侵害)責任があるからです。 そして不法行為の成立要件の一つとして『故意や過失』のある事があげられています。つまり故意や過失がない場合は、不法行為責任は負わなくてよいと いう事になっているのです。

ドライバーとしては過失といえるのかどうかわからないような出来事で事故を引き起こしてしまう場合もありますが、 その判断基準はどのようになっているのでしょうか。

不法行為法における過失とは『結果の発生を認識すべきであったのに認識しなかったこと』をいうとされています。 この事について次の例を参考に考えてみましょう。

小石をはねた過失の責任は?

国道を車で走行していたら、タイヤで小石をはねあげて、並走していた車のドアーに当たったらしいのです。 私としても確かに石をはね上げたような感触の後、相手の方の車に何かがぶつかる音を聞きました。 ちょうど信号で止まった時に相手の方に声をかけられたので、一緒に傷を確認しました。誠実そうな方で言いがかりではないと思うのですが、 このような場合も修理代を負担しないといけないのでしょうか。

小石を跳ねたことに過失があるのかどうかということを考えてみましょう。 道路交通法第71条では、水溜り等を通行するときは、水や泥をはねて他人に迷惑を及ぼすことのないようにすることと定められています。 水や泥をはねないようにするためには、水溜り等を避けて通行するか、避けられない場合はその前で徐行や一時停止をすることによって飛散を防止する事が 考えられます。これらを怠り、他人に迷惑を及ぼせば、同法違反となるばかりでなく、民法上の損害賠償責任を負う可能性も高いといえるでしょう。

しかし小石の場合は水溜りとは異なり、その存在を意識しながら運転するのは一般ドライバーにとって困難なことといわざるを得ません。 必要もないのにことさら小石がたまっているような路肩付近を高速で走行したとか、小石が大量に道路上に散乱しているのに注意を払わずに 走行した等の事情がない限り、小石を跳ね飛ばして他人に害を与える結果は予見できないと判断され、過失は問われない可能性が高いと思います。