慰謝料を増額させるに値する特別な場合とは
「事故後加害者は一度も謝りに来ず、誠意が全く感じられない。」「事故後の通院のせいで、楽しみにしていた旅行の計画を変更した。」 「会社を休まざるを得ず、会社に大変迷惑をかけた。出世にも影響があると思う。」これらは被害者の口から良く聞かれる言葉です。任意保険会社の表や自賠責のやり方で慰謝料を計算されたが、 自分はそれだけではなく、こういった間接的な被害もいろいろと受けているので、その分を加算してもらわなければ到底納得できない、という主張です。 これは至極尤もな考え方であり、慰謝料が精神的損害に対して支払われる賠償金であるならば、そういった事情全てを金額に換算して、賠償額に組み込めば良いとも考えられます。 しかしそれらの事情を全て金額に換算して慰謝料に加算するというのは、容易な事ではありません。例えば旅行を変更したための精神的損害を金額に換算するというだけでも、被害者の年齢が若ければ またいつでも旅行にいけるが、高齢者の場合は旅行にいける最後のチャンスだったかもしれない。時間に余裕のある学生と、仕事で多忙でここ数年時間がとれず、やっとスケジュールを 調整して予約した者。海外旅行に行く予定だった者、日帰りの予定だった者等について、その金額を個別に基準化することは現実的な作業ではありません。 そういった事情もあり、また、そもそも他人の精神的苦痛の大きさを明確にする事などは不可能とも言えることですので、ある程度の事情については一般的な不利益として 慰謝料表の金額に含まれると考えられています。
程度や因果関係、立証の問題は別にして、慰謝料を斟酌するような特別な場合としては、退職、廃業、入学、昇進、留年、流産、中絶、離婚などが考えられます。 これらの事情から蒙る不利益は慰謝料表から導いた数字では評価しきれない場合がありうるでしょう。そのような場合は個別の事情に応じ、慰謝料算定にあたり斟酌すべきです。増額すべき金額については 基準化はされていません。
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