交通事故の示談で知っておきたい5つのポイント

交通事故オンライン損害賠償編

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伊佐行政書士事務所
  1. 事故直後の対応
  2. 治療や検査など
  3. 症状固定
  4. 後遺障害等級認定
  5. 損害賠償請求
  6. 示談
  7. 示談書の書き方
  8. 交渉の上手なやり方

示談までに必要な、正しい知識をつけましょう

「悔しい。納得できない。」
多くの被害者はそうした不満を抱えつつも、妥当な補償を受けるための知識をもたないため、準備不足の状態で なりゆきに任せて示談交渉に臨むことになります。
あとで後悔しないためには、「よい被害者」になることが大切です。

 

1.事故直後の対応

  • (1)必ず警察へ連絡しましょう。
  • (2)目撃者がいた場合は、連絡先を確認しておきましょう。
  • (3)加害者が任意保険に加入している場合は、保険会社から治療費の支払い等についてすぐに連絡があります。 任意保険がなかったり、ご自分の過失が大きい場合は、自分で加入している人身傷害補償保険か、 加害者の自賠責保険へ請求手続きをする必要があります。

【ポイント1】 痛みが残っても補償されない現実

むち打ち損傷で痛みが残った場合、知識不足のために満足な補償を受けられないことがあります。 第一に、痛みが残っているので治療を続けたいといっても、外見上怪我をしているかどうかがわからないために、 ごく短期間で保険会社から治療費の支払いを停止されることが多い。 第二に、後遺症の認定を受けてみても、医学的な証明のやり方がわからず、等級非該当とされることが多いというのがその理由です。 そのため満足な補償を得るためには、法律のほか医療や等級認定のしくみに関連する知識をつけておくことが必要になります。

2.治療や検査など

  • (1)仕事が忙しくても、必要な治療は必ず受けましょう。むち打ち損傷の場合は接骨院・整骨院への通院も可能ですが、 整形外科中心にかかっておいた方がいいでしょう。
  • (2)治療や検査については原則として医師の指示に従うべきですが、治療方針に疑問のある場合は転院も検討しましょう。
  • (3)頸椎捻挫などで、一ヶ月しても症状が改善しない場合は、後遺症が残ることも想定して計画的な対応をしましょう。

【ポイント2】 なぜ治療が重要なのか?

治療内容等は、後遺症の認定や慰謝料計算の基礎となる重要な指標です。仕事が忙しいからと必要な治療を受けないと 「治療の必要がなかった」とみなされます。骨折など身体の損傷が明らかな傷病の場合は、 積極的な治療をせず経過観察の期間が長いということもあるため、そのような心配は少ないですが、 むち打ち損傷などで身体の損傷が明らかでないケースでは、注意が必要です。

3.症状固定

  • (1)適切な時期に症状固定としましょう。症状固定期は一概に決めることはできませんが、根拠なき保険会社からの症状固定の勧めには、慎重に対応しましょう。
  • (2)いたずらに症状固定日を延ばすと、被害者自身にも不利益が及ぶ可能性があります。

【ポイント3】 なぜ、治療をやめさせられるのか?

頚椎捻挫等では、保険会社が自社の利益を優先するあまり、根拠なき治療打切り交渉をしてくる場合が多いですが、 一方で正当な根拠に基づく治療中止の提案をされる場合もあります。 そんなとき被害者はどうすればよいのかわからず、ネット上の情報に振り回されて疑心暗鬼になります。判断を誤ることの多いポイントです。 ネット上の情報は、でたらめではないにしても、物事の一面のみしか見ていないことが多いので、鵜呑みにしないように注意してください。 短すぎる治療は後遺症認定や慰謝料算定において不利益になる可能性が高いですし、長すぎる治療は素因の問題や過失相殺において不利益を被る可能性が高いです。

  

4.後遺障害等級認定

  • (1)等級認定の手続きは、事前認定の方法と被害者請求の方法が選べます。ご自分にメリットのある方法を選択しましょう。
  • (2)後遺障害等級の認定は、醜状障害など一部を除いて、書面や画像による審査しか行われません。そのため診断書の内容が簡単すぎたり、必要な検査資料などが 欠けている場合は、後遺症に見合った認定はされません。
  • (3)認定機関が認定に必要な条件を教えてくれることはありません。
  • (4)認定された等級により、損害賠償額は大きく異なります。妥当な損害賠償を受けるためには、妥当な等級認定を受けていることが大前提となります。

【ポイント4】 なぜ、後遺障害等級が認定されないか?

「こんなに痛いのだから、公平な機関が認定するのならわかってくれるはず。」こうした考え方は正しいとはいえません。 等級認定は、ある意味機械的になされている部分も多いのです。そのため、どんなに痛くて動けなくても、 仕事を解雇されて生活に窮していても、いくつかの条件が揃わないと認定はされません。「むち打ち損傷」「中心性脊髄損傷」「高次脳機能障害」 の場合は特に治療中からの対策が重要になってきます。

5.損害賠償請求

  • (1)後遺障害の有無が確定すると、保険会社から損害賠償額を提示してきますので、それで示談をした方がよいか、交渉した方がよいのか、対応を考える必要があります。
  • (2)時間、費用、精神的負担と、交渉により増額する見込み金額を比較して方策を考えましょう。

【ポイント5】 なぜ賠償金が低額なのか?

その理由が「保険会社の利益のため」だけだったとしたら、根拠なき交渉でも上手くゆくかもしれません。 ですがそれは間違いです。妥当な損害賠償を受けるには、それを裏付けることのできる妥当な根拠の提示が必要です。 それを揃えるのは被害者側のやるべきことなのです。それがきちんとできれば、ほとんどの場合で妥当な解決が可能です。

6.示談

  • (1)示談書の効力について把握した上で署名捺印をしましょう。
  • (2)後遺障害等級認定について異議申し立てをする予定がある場合は、示談書の内容も、後日新たな後遺障害が認定された場合は別途協議するといった文言を 入れてもらいましょう。

示談後に生じた新たな損害

示談すると新たな請求はできなくなるのが原則ですが、これには例外があります。 示談後に、示談した当時予測することのできなかった損害が発生した場合などは、その分を請求することが可能な場合もあるのです。 これは主に後遺症の発生で問題とされます。示談後に事故による新たな後遺障害が発生した場合は、その後遺障害のことを含めて示談したものと 見られない限り、その後遺障害分の請求が認められる可能性があります。

【判例】
早急に少額の賠償金をもって満足する旨の示談がされた場合においては、示談によって被害者が放棄した損害賠償請求権は、 示談当時予想していた損害についてのもののみと解すべきであって、その当時予想できなかった不測の再手術や後遺症がその後発生した場合その損害についてまで、 賠償請求権を放棄した趣旨と解するのは当事者の合理的意思に合致するものとはいえない。

 

示談後の請求には応じるべきか

私が加害者となった事故で、相手の方に怪我を負わせてしまいました。 それほど重傷ということもなく、 保険会社と示談が成立したのですが、最近相手の方から仕事を辞めざるを得なくなり収入が途絶えた分を 補償して欲しいという連絡をいただきました。保険会社とは示談が成立しているため、保険会社は受け付けないと思います。 生活のリズムを壊したのは加害者である私ではありますが、私はこの要求に対し、支払うべきなのでしょうか? 支払うにしても、私はどのような考え方(根拠)で、どれほどの金額を払うのが妥当なのでしょうか?

法的には支払う義務はありません。ただし、保険会社との示談が妥当とはいえず、 あなた様が被害者に同情しているということであれば、任意に支払うことは自由です。 あなた様の気持ち次第ですが、支払う場合は、交通事故については示談解決しているので、 損害賠償金としてではなく、お見舞金などの名目で支払うべきでしょうし、今後一切の請求や通知をしないなどの 書面をもらっておいたほうがいいでしょう。相手がどのような人物なのか、よく見極める事も大切だと思います。 被害者の中には上手く保険会社に言いくるめられて本当に気の毒な方もいますが、 中には慰謝料や休業損害の支払いに味をしめて、不当な請求をしてくるような人物もいますので、注意しましょう。

示談(じだん)とは

示談という言葉は、何かの争いごとを当事者間の話し合いによって解決することという意味で使われています。離婚の慰謝料を示談で決める、交通事故の損害賠償金について示談する、などのように使われます。 一般に事故で怪我をした被害者は、加害者に対して治療費や慰謝料の補償を求めることになりますが、この損害賠償請求できる金額というのは法律などで具体的に決められているわけではありません。 そのため当事者間で合意できれば慰謝料をゼロ円にすることもできますし、1000万円とすることもできるのです。 当事者間で示談による解決ができない場合は、裁判所等を利用して解決を求めることになります。

示談をすると、被害者は同一の事故について、合意金額以外の請求権を放棄することになります。ただし物損だけの示談、傷害による損害だけの示談など、特定の損害のみについて示談を することも可能ですので、示談書には示談の効力の及ぶ範囲を明記しておいた方がよいでしょう。

和解契約とは

民法では典型的な契約の形として13種類の契約が規定されていますが、その中には「示談」という言葉はありません。 示談も契約ですが、これは典型契約の一つである「和解契約」の一種と考えられています。 和解契約は、民法695条で「和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生じる。」と規定されていることから、 示談契約にも同様の効力があるものとされています。話し合いでの解決で用いる言葉としては、示談でも和解でも差支えはありませんが、「互譲」という要件が欠けている場合、 すなわち、一方の主張がそのまま認められた場合は、示談という言葉を使った方が適切といえます。

示談の話し合いで決まったことは、後のトラブル防止のためにも、書面に残しておくのが常識といえましょう。 それでは示談で決まったことはどのような書面に残しておけばよいのでしょうか?

示談書の書き方

示談書を残すことによって、例えば次のようなメリットがあります。

(1)口約束しかないと、被害者の気が変わったときに、加害者は追加の賠償金を請求される心配があります。

(2)何に対する賠償をしたのかを明らかにしておけば、「あれは休業損害だけの賠償金だ。別に慰謝料を払え。」などといわれることがなくなります。

(3)加害者が債務不履行(合意した金額の金銭を支払わない)をした場合に、契約を解除できます。

表題 「示談書」、「示談契約書」などと書きます。 「示談書」
事故の特定 年月日と事故発生場所を記載します。 「平成24年1月10日午後5時20分ころに○○市○番地で発生した、佐藤○○および鈴木○○を当事者とする交通事故により鈴木○○に生じた」
被害内容 物損、人身傷害などの別を記載します。 「傷害による損害および後遺症による損害について」
示談内容 誰が誰に対して、どのような費目について、いくら賠償するかを記載します。 「鈴木○○が佐藤○○より治療費金○○万円、慰謝料金○○○万円、逸失利益金○○万円、合計金○○○万円を受領した時は」
権利放棄条項 示談による具体的な効力を記載します。 「金○○○万円を受領した時は、鈴木○○は、その余の請求を放棄する」
日付 示談した年月日を特定します。 「平成24年12月10日」
当事者について 当事者の住所、氏名を記載し、捺印します。
   

自分でできる示談交渉

保険会社が間に入ってくれるときと、直接相手方と交渉するときとでは勝手が違いますが、ここでは保険会社の担当者を相手に交渉するときの注意点を簡単にご説明します。

1 話合いにより解決を目指しているということを忘れない

被害者の中には、被害者感情をむき出しにして、自分の要求が通らないときは、相手方に食って掛かるようなケースもあるようですが、 それでは話合いになりませんので、あまり感情的な態度を出すことは慎むべきです。 例え相手の態度が悪くても、こちらは丁寧な態度で臨むくらいの余裕があるといいと思います。

2 自分の要求をはっきりさせる。

何の損害を、いくら請求するのか、過失割合は何対何を主張するのか決めておくことです。いったん請求した額を、交渉中に妥協して下げることは構いませんが、後から吊り上げていくような事をすると、話合いになりません。

3 請求の根拠を明確にしておく。

なんだかよくわからないが、これくらい払ってくれればいい、などという態度は感心できません。 それで通用することもあるでしょうが、反論されたときに、何も言えなくなってしまいます。

4 請求内容は妥当なものにする。

保険会社の人はプロですから、どれくらいが妥当なものなのかは大体把握しています。 従って、法的にも到底無理な請求内容である場合は、絶対に譲歩してきません。妥当でない請求は、紛争化のもとですので、注意が必要です。

5 示談交渉は文書で行う。

電話で交渉すると考えがまとまらなかったり、言った言わないの水掛け論となる可能性があります。交渉は必ず文書で行いましょう。

損害賠償請求書の書き方はこちら。

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