Q&A 過失割合

交通事故オンライン損害賠償編

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伊佐行政書士事務所

過失割合に関するQ&A

Q1 過失割合というのはどのように決めるのですか。

判例タイムズ社の民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準という本を参考にして決めるケースがほとんどです。 ただしこの本を見ても、慣れない方には判断が難しく、単純なケースでは良いのですが、その他の場合は修正要素などを詳細に検討した上で、 さらに判例なども参考にしつつ過失割合を検討する必要があります。 無料相談で妥当な過失割合を教えてくださいというご質問をたまにいただくのですが、 ごくごく単純なケースではお答えすることもありますが、事情をお聞きした上で検討しなければならないケースがほとんどですので、 有料対応をお勧めする場合が多いです。

Q2 相手方は私のスピード超過を指摘していますが、私はそんなにスピードを出していません。現場にブレーキ痕がありますが、 それから速度を計算することはできますか

推測することは可能です。 スリップ痕から制動開始時の初速度を計算するには
制動初速度(km/h)=√(259×制動痕の長さ(m)×摩擦係数)という式を使います。

摩擦係数は路面の状態や乾燥か湿潤かも考慮すべきですが、ここでは0.7とします。また、ここでは道路勾配は0%とします。 以上の条件で制動痕の長さが10mだったとすると、制動初速度は42.5km/hということになります。

Q3 息子がバイクで友人を後ろに乗せて転倒し、大怪我をさせてしまいました。その友人はヘルメットを被らずに強引に後ろに 乗ってきたとの事です。責任はどれくらいありますか。

ヘルメットを被らない人間を乗せてバイクを運転することは当然許されないことですが、このケースでは友人にも過失が認められる (例えば3割程度)可能性が高いと思います。具体的にどれくらいの過失があるかというのは、その友人との関係 (年齢差や先輩後輩の関係とか、命令に逆らえないような関係だったとか)を具体的に検討して判断していく事になるでしょう。

Q4 タクシーと事故を起しました。相手のほうが悪いと思うのですが、タクシー会社の人は私のほうが過失が大きいといっています。 どうしたらいいのでしょうか。

事故慣れしていて、不相当な主張をしてくるタクシー会社もあります。 不相当な主張でも、知識がないとなかなか上手に反論できず、 ついにはタクシー会社の不相当な主張が罷り通ったりしてしまいます。このような場合は面倒がらずに、お早めに専門家にご相談ください。 専門家が関与してきたとわかった途端に、相手の態度が変わってくるのは良くあることです。

Q5 渋滞している車の左路側帯側をバイクで走行中、急にドアが開いて衝突しました。過失割合はどれくらいですか。

車の停車した場所や道路の状況、停車時間、ドア開放の時の安全確認の程度、バイクの走行位置、速度など、様々な事項を検討する必要がありますが、 判例では概ね車側に過失を100~80%程度認める例が多いようです。

Q6 「明らかに広い道路」とはどんな道路のことをいうのでしょうか。

具体的に何%広いなどの基準はありません。自動車の運転者が交差点の入り口において、道路の幅が客観的にかなり広いと一見して見分けられるものをいいます。 判例を参考に、事例ごとに判断するしかないでしょう。

Q7 傘をさして自転車を運転中に車と事故になった場合、不利になるのでしょうか。

傘をさしてということは、前方が良く見えない場合があること、また、片手運転で不安定な運転をしているということで不利な要因になります。 ただし、それらのことが、事故原因を考えた場合に、取るに足らないようなことである場合は、過失として特に考慮されない場合もあります。

Q8 自転車に乗って横断歩道を渡っているときに車と事故になった場合、不利になるのでしょうか。

横断歩道を通る場合は自転車を押して歩くべきといえますが、横断歩道のない部分を渡るよりも車から見た場合は発見されやすいともいえるなどのことから、 その事自体で特に不利になるようには扱われていません。

Q9 優者危険負担の原則とはどんなことですか。

同じ事故態様でも、弱いものが保護されるという考え方です。例えば四輪車とバイクの事故の過失割合は、四輪車と自転車の過失割合に比べれば、バイクの事故のほうが 過失割合が高く見られます。

Q10 無免許運転は過失割合を決めるのに関係がありますか。

無免許運転は重過失とされます。ただし、そのことが事故と相当因果関係がない場合は、過失割合に与える影響は一定ではないと思います。

Q11 無車検車で事故を起した場合、過失割合に関係はありますか。

加害者が無車検車であることのみによって、単純に重過失などの修正要素を適用できるかどうかは、因果関係の程度によって判断が分かれるのではないかと思います。 ただし、そのような加害者は遵法精神に欠ける者として、過失割合や慰謝料の算定時に不利益を被ることになると考えられます。

Q12 信号サイクルとはなんですか。

赤、青、黄のそれぞれの表示秒数などのことです。警察で管理しています。

Q13 車道に子供が飛び出して事故になりました。怪我をした相手は気の毒に思いますが、過失が8割もあることに納得がいかないのですが。

自動車を運転する者には、重い責任が課せられています。避けられないタイミングで飛び出されたのに責任を負わなければならないのか という疑問はもっともだと思いますが、ドライバーには飛び出してくる人があることをも予測して運転する注意義務があるというように 心得ておくべきでしょう。子供だけでなく、高齢者の信号無視の飛び出しなども良く見かけます。信号が青でも、気を緩めない運転を心掛けたいものです。 実際の過失割合は、その道路が幹線道路なのか、生活道路なのかなどによっても異なってきますが、自動車側の過失の方が大きくなるケースのほうが 多いと思われます。

Q14 過失は10%単位で決められるのですか。

通常は5%単位で決められますが、決まりはありません。

Q15 交通事故証明書を取れば、過失割合がわかるのですか。

交通事故証明書には、追突とか出会い頭の事故などの事故の態様は書いてありますが、それ以上の細かい事は書いてありません。 従って通常は過失割合を考える上では、あまり参考になりません。

Q16 歩行者と自動車の事故で、歩行者は怪我をして、車も傷がつきました。歩行者の過失相殺率は7割です。歩行者は車の修理代を払う必要はありますか。

歩行者にも過失割合分の不法行為責任があるといえる場合が多いと思います。歩行者の被害と歩行者が加害した過失割合が 同一と考えられるかどうかは議論のあるところですが、請求された場合は負担すべき場合もあるでしょう。

Q17 高齢者が自転車で信号無視をして飛び出してきました。咄嗟によけたので、衝突せずに済みましたが、 私の車は電柱にぶつかり廃車になりました。相手に請求できますか。

請求できることが多いと思いますが、自動車側の速度超過があったり、回避するための措置に過失が認めれられれば、過失相殺されることになるでしょう。

Q18 対向車線で事故があり、跳ね飛ばされてきた人をよけきれずに轢いてしまいました。私にも過失はあるのでしょうか。

予測不可能であれば過失を問われない可能性もありますが、対向車線での事故の様子を把握することができ、その時点で直ちに回避行動をとれば 事故を避けられた可能性があると認められる場合などは過失を問われる場合もありえます。

Q19 パトカーが追跡していた車が信号無視をしたために私の車に衝突しました。警察に責任を問えますか。

追跡行為に違法性が認められれば責任追及の余地はありますが、容易ではないと思います。弁護士さんに相談しましょう。

Q20 運転中に脳梗塞となり、意識を失って事故を起こしました。過失はどうなりますか。

事故態様にもよりますが、運転中に突然病気などで意識を失って事故を引き起こした場合でも、免責をされる可能性は高くないと考えられます。

Q21 著しい過失とはどんな場合をいいますか。

例えばわき見運転や、携帯電話の使用、酒気帯び運転などが考えられます。

Q22 重過失とはどんな場合をいいますか。

例えば酒酔い運転、居眠り運転、無免許運転が考えられます。

Q23 高速道路で故障のために停車中、追突されました。相手が100%悪いのでは。

高速道路では一般道と異なる扱いがされます。路肩への待避が可能であるのに本線車道上に留まり追突された場合は、 追突された側にも大きな過失が問われます。

Q24 サンキュー事故とはどんな事故ですか。

交差点で右折のために停止しているときに、対向車線が渋滞などで流れが止まり、対向車から道を『どうぞ』と譲られる場合があります。 『有難う』と右折を開始したとたん、対向車線の左端などを走行してきたバイクと衝突するといった事故形態のことをいいます。

Q25 左方優先とはどういうことですか。

自動車は左側通行とされています。自動車が交差点で出会う場合、右方車は左側によける余地があるのに対し、 左方車は余地があまり無いために、左方車を優先させるといわれています。