Q&A 後遺障害

交通事故オンライン損害賠償編

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伊佐行政書士事務所

後遺障害に関するQ&A

Q1 後遺症の等級はどのように決められるのでしょうか。

医師の書いた後遺障害診断書等の資料に基づき、損害保険料率算出機構の調査事務所で認定されます。自賠責保険の制度です。

Q2 症状固定とはどういうことですか。

医学上一般に承認された治療方法をもってしてもその効果が期待できず、残存する症状が自然的経過によって到達すると 認められる最終の状態に達したことをいいます。治療直後は良くなったと感じても、一進一退の状態であれば、症状固定といえるでしょう。

Q3 等級の併合、加重とはなんでしょうか。

後遺障害は何級何号という形で分けられていますが、複数の後遺障害が残った場合は、合わせて一つの等級を決めます。それが併合です。 加重とは、既に障害を有していたところ、事故でその障害が重くなった場合のことをいいます。

Q4 事前認定とはどういうことですか。

任意保険会社が一括対応をしている場合に、任意保険会社を通して後遺障害等級認定を受けることを事前認定と呼んでいます。

Q5 むち打ち症の治療は3ヶ月までしか認められないといわれましたが、本当なのでしょうか。

むち打ち症の痛みの原因や症状は実に多岐にわたっています。一番多いといわれている頚椎捻挫型などといわれているむち打ち症の場合は、 医学的には多くは1~3ヶ月で治るといわれています。それを受けて最高裁昭和63年4月21日判決では『~衝撃の程度が軽微で損傷が頚部軟部組織 にとどまっている場合には、入院安静を要するとしても長時間にわたる必要はなく、その後は多少の自覚症状があっても日常生活に復帰させた 上適切な治療を施せば、ほとんど1ヶ月以内、長くとも2,3ヶ月以内に通常の生活に戻ることができるのが一般である。~』との見解が示され、 それを根拠に保険会社から3ヶ月で治療の打切りを打診される例があります。ですが前述した通り、 痛みの原因は多岐にわたっていますので単純に3ヶ月で治療を打ち切るという考え方には問題があります。 どれくらいの治療が必要なのかということは保険会社が勝手に判断することではありません。 ケースごとに医師と相談の上考えるべきことです。

Q6 病院では頚椎に異常があるといわれたのに、後遺症の認定はされませんでした。なぜでしょうか。

例えばMRIなどで頚椎に骨棘やヘルニアなどの異常が見つかっても、それが後遺症と関連があるものとはいえない場合があります。従って、単に画像上異常が みられたからといって、後遺障害等級が認定されるとは限らないのです。

Q7 顔に大きな傷跡が残りました。後遺障害として認定されましたが、保険会社に逸失利益はないといわれています。本当でしょうか。

逸失利益は労働能力の喪失がある場合に認められますが、顔に傷が残った場合は、仕事に影響しないと考えられる場合が多く、慰謝料はともかく、逸失利益は 認められないという考え方があります。しかし職業や年齢等によっては認められる場合もありますので、最初からあきらめる必要はないでしょう。

Q8 12級の後遺障害が残りました。私は内装業をしておりましたが、後遺症のため廃業せざるをえません。逸失利益の計算で労働能力の喪失が 14%だといわれましたが、年齢的にも他の職業への移行は困難だと思います。それでも14%で我慢しなければならないのでしょうか。

労働能力喪失率は、後遺障害等級別に率が決められています。もともと労災の後遺障害等級認定基準からきているものですが、 これはあくまでも「基準」として一定のラインを示しているだけのものに過ぎませんので、障害の内容や、個人の職業によって、 実際に喪失したといえる労働能力が違ってくるのは当然のことです。したがって証拠を示して、基準と異なる喪失率で逸失利益を請求する事も可能ですが、 一般にはほとんどのケースで労働能力喪失率表の基準が当てはめられており、容易には認められないと思います。

Q9 後遺症が認定された後の治療費は請求できませんか。

原則として認められませんが、後遺症の内容等によっては、将来の治療費や検査費が認められる場合もあります。

Q10 後遺障害診断書を整骨院で書いてもらうことはできますか。

できません。後遺障害診断書は医師に書いてもらってください。

Q11 自賠責保険がない場合は後遺障害等級はどのように決まるのですか。

自転車と歩行者の事故などで自賠責保険がない場合は、客観的に等級を決める方法がありません。診断書等から当事者間で 合理的な等級を認定し、損害額算定の基礎とすることになるでしょう。

Q12 等級の認定に不服があるときはどうすればよいのですか。

必要な資料を添付し、異議申立をして、妥当な等級を再度検討してもらうことができます。

Q13 事故後、病院でRSDと診断されました。数ヵ月後、後遺障害等級認定を受けましたが、結果は非該当でした。 異議申立をすれば等級認定されますか。

医師がつける診断名によって後遺障害等級が決まるわけではありませんので、異議申し立てをする前に、 どのような経緯でそのような診断名がつけられたのか、診断書の内容は障害を的確に現しているのか、 該当すると考えられる等級に必要な条件を満たしているのかなどを検討すべきです。

Q14 頚椎捻挫と腰椎捻挫で14級が二つ認定されたのですが、損害賠償請求も二つ分できますか。

14級が二つ認定されても、併合による等級の繰上げはありませんので、14級がひとつとして取り扱われます。ただし、慰謝料算定に おいては、後遺症の内容や程度が斟酌され得ますので、若干高めの請求ができる場合もあるでしょう。

Q15 自賠責の後遺障害等級が認定されると、就職などで不利になったりするのでしょうか。

後遺症の内容にもよりますが、等級認定されること自体で社会的に不利益を蒙ることは少ないと思います。 「障害」を認定されるということに抵抗を感じる方もたまにいらっしゃいますが、 特に14級の神経症状程度では、問題にされることは少ないでしょう。

Q16 関節の曲がりが悪くなったのですが、どんな基準で認定されますか?

関節の機能障害が残った場合は、健康な側の曲がる角度と、後遺症がある側(患側)の曲がる角度を比べて、 どれくらい曲がらなくなったのかによって、認定される 等級が違ってきます。4分の3以下に制限された場合と2分の1以下に制限された場合などのように、決められています。単に曲がらないことだけでなく、 曲がらないことについて、骨が変形しているなどの理由がはっきりしている必要もあります。

Q17 高次脳機能障害はどのように評価されますか?

事故後の意識レベルや脳室拡大などの画像所見のほか、神経心理テストや日常生活の状況などによって評価され、等級認定されます。

Q18 顔に残った傷も後遺症になるのですか?

外貌醜状といって、後遺障害となります。傷の位置や程度によって認定される等級は異なります。 10円玉以上の大きさとか、3センチ以上の長さなどの基準がありますが、色の濃さなども関係してきます。 比較的軽いものでは、男性は14級、女性は12級。重いものでは 男性は12級、女性は7級になります。

Q19 耳鳴りが残ったのですが、何級に認定されますか?

耳鳴りの原因にもよりますが、14級または12級に認定される可能性があります。

Q20 視力が悪くなったのですが、等級認定されますか?

視力が落ちるのにはいろいろな原因があります。視神経の損傷などがあり、矯正もできず、 等級表に定められた程度の視力の低下がある場合は、認定される場合があります。