死角と過失

交通事故オンライン損害賠償編

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伊佐行政書士事務所

運転席からの死角

自動車の運転席から視認できない部分を死角といいます。被害者が死角に入っていたためにその存在に気がつかず事故が発生した場合、 運転者の無責が主張される場合もありますが、そのような場合に運転者が免責されることはあるのでしょうか。 あるとすればどのようなケースが考えられるのでしょうか。

一般には自動車の運転者には、死角内に人がいないかどうか、安全確認をすべき注意義務があると解されています。たとえば周囲の状況などから、幼児などが自動車の死角に 入り込む可能性を予見できるのであれば、運転者にも過失ありとみられます。幼稚園の送迎バスから降りた園児が、バスの死角に入り込んでいるのに気がつかずに事故になった場合などが考えられます。 駐車中の自動車を発進させる時も、運転席から見通しうる範囲のみ確認するだけでは足りず、自動車の前方に回ってみるなどの注意義務があるとされた例もあります。

運転者の過失が否定された例

被害者が死角内にいたことにより、運転者の過失が否定された例も存在します。バスの乗客だった幼児が、降車後転倒し、車体の下に倒れているのに気付かずに発車したケースです。 このケースでは特別の事情のない限り車体の下に転がり込んでいる幼児等がいないかまでを注意する義務はないと判断されました。

運転者の過失が否定されるケースは稀かと思いますが、被害者側にも不注意に死角に入りこんだということで、過失相殺をされる例が多く見られます。